
先日、急逝された水口洋治さんの詩集を読んでいる。
通夜式で彼の急逝を受けてご家族が手作りした詩集「えぴろーぐ・水口洋治」。
ご長男が朗読した「ボート」の次の「生誕の時」には希望を感じる。
たましいのふるさと、ユートピアの匂いがする。
「生誕の時」
誰も知らない湖に行って
ぼくの心をのぞきこむのだ
ひたひたと水は揺れていて
ひたひたと心は揺れていて
森には鳥たちのざわめき
枝々には風たちが待ち受け
背後の草原には
花達がひそんでいて
火事でこわばった服は脱ぎ捨てよう
苦い心は水ですすぎ
背をまっすぐにして 泳ぎだそう はるかな岸へ
やがてはさまざまな色たちが空や湖に踊り始め
ものみなが生誕を告げる時
夜は確実に しりぞいていくのだと
スポンサーサイト
Last Modified :