金曜日の午前中にいっぽんの電話。
えーっと、ト、トミウエさん?
あのー、トカミですが…。
わたし津沢マサ子ですけど。
えーっ!ほんとに津沢さんですか。
わたし津沢さんの大ファンなんです!
というところから始まり、延々としゃべるしゃべるしゃべる。
なんだが昔からずっとお友達だったみたいに。
まるで長い長いご無沙汰の時間を埋めるみたいに。
そして、こんど上京したらお目にかかる約束まで
してしまった。
津沢さん、腱鞘炎で文字が書けなくて句集のお礼状もなかなか
書けないと嘆いていらっしゃったけど、そのお声にはハリがあり
たましいの勢いのある人だと改めて思いしる。だから彼女の書く
俳句はいつまでも胸を打つ。ことばの永遠を思わせる人。
電話を切ってしばらく、たましいの震えが止まらなかった。
以下、「あざみ通信」に津沢マサ子を書いた部分の引用。
*****
友人に貸したままになっていた津沢マサ子の句文集『風のトルソー』が
私のところへ戻ってきた。
俳人・津沢マサ子。
俳人では誰が好き?って尋ねられたら真っ先に名前が浮かぶ俳人のひとりだ。
ひさびさに戻ってきた『風のトルソー』を開いてみた。
ばらばらになって春待つガラスびん
蠅生まれ世にぺらぺらと週刊誌
忘れいし晩夏は納屋のかたちせり
西日だらけの家が犇きあう時刻
自分とはいずこを走る秋の雲
雁首をならべて枯れしものらの日
ひらくページのどの句も心を打つ。津沢マサ子はやっぱり筋金入りの俳人だ。
桃咲く夜壁もからだも邪魔になる
辻褄をあわせて春に間にあわず
手が足が伸びて荒野に五月くる
家族とは西日のなかのかげとかげ
そして、友人は 「天高くたった一人ということば」 を胸に刻みましたと、
手紙に書いてくれた。
津沢マサ子はいい。
日常のなんでもない場面で、ふっと口をついてでてくる津沢の俳句。
人間存在の根源を厳しく鋭く問い続ける姿勢は、今も健在だ。
************
80歳を過ぎたこの偉大な俳人と、どうしてずっと昔から
知ってたみたいに、ずっと友だちだったみたいにしゃべれた
のだろう。ことばはときに不思議な驚くべき縁を運んでくれる。
ありがとう。
えーっと、ト、トミウエさん?
あのー、トカミですが…。
わたし津沢マサ子ですけど。
えーっ!ほんとに津沢さんですか。
わたし津沢さんの大ファンなんです!
というところから始まり、延々としゃべるしゃべるしゃべる。
なんだが昔からずっとお友達だったみたいに。
まるで長い長いご無沙汰の時間を埋めるみたいに。
そして、こんど上京したらお目にかかる約束まで
してしまった。
津沢さん、腱鞘炎で文字が書けなくて句集のお礼状もなかなか
書けないと嘆いていらっしゃったけど、そのお声にはハリがあり
たましいの勢いのある人だと改めて思いしる。だから彼女の書く
俳句はいつまでも胸を打つ。ことばの永遠を思わせる人。
電話を切ってしばらく、たましいの震えが止まらなかった。
以下、「あざみ通信」に津沢マサ子を書いた部分の引用。
*****
友人に貸したままになっていた津沢マサ子の句文集『風のトルソー』が
私のところへ戻ってきた。
俳人・津沢マサ子。
俳人では誰が好き?って尋ねられたら真っ先に名前が浮かぶ俳人のひとりだ。
ひさびさに戻ってきた『風のトルソー』を開いてみた。
ばらばらになって春待つガラスびん
蠅生まれ世にぺらぺらと週刊誌
忘れいし晩夏は納屋のかたちせり
西日だらけの家が犇きあう時刻
自分とはいずこを走る秋の雲
雁首をならべて枯れしものらの日
ひらくページのどの句も心を打つ。津沢マサ子はやっぱり筋金入りの俳人だ。
桃咲く夜壁もからだも邪魔になる
辻褄をあわせて春に間にあわず
手が足が伸びて荒野に五月くる
家族とは西日のなかのかげとかげ
そして、友人は 「天高くたった一人ということば」 を胸に刻みましたと、
手紙に書いてくれた。
津沢マサ子はいい。
日常のなんでもない場面で、ふっと口をついてでてくる津沢の俳句。
人間存在の根源を厳しく鋭く問い続ける姿勢は、今も健在だ。
************
80歳を過ぎたこの偉大な俳人と、どうしてずっと昔から
知ってたみたいに、ずっと友だちだったみたいにしゃべれた
のだろう。ことばはときに不思議な驚くべき縁を運んでくれる。
ありがとう。
スポンサーサイト
Last Modified :